第67回

TM Network『CHILDHOOD'S END』

 第64回のおセンチ日記で「小室哲哉は私財を投じてTM全作品を1年以内にリマスタリングすべきだ。」と書いたのですが、なんと!TM Networkデビュー20執念、、、、(久々のナイスな変換ミスだよ、eMac君)デビュー20周年企画として、全アルバムがリマスタリングで収録されたComplete Boxが発売されることになりました!わたし、自分の直感が現実になる自信はあるのですが、こんなに早いタイミングなのはちょいと恐いです。内容を良く見ると、解散間際にどかすか出たベスト盤なんかが入っているわりにはシングルバージョンの『Kiss You』とそのB面の『Self Control Version The Budohkan』が入っていなかったり、と完全なCompleteで無い点が惜しまれます(もし『レコードコレクターズ』のライターさんとかに見つかったらボロカスに言われそうな仕事です)。というわけで今期待しているのはリマスタリング盤のバラ売り!で、そうなったら何を買うかなー、と考えてみて浮かんだのが2ndの『CHILDHOOD'S END』でした。なので今回はこのアルバムについて書きます。
 このアルバムは中1の時にひたすら聴いていました。夏休みに親戚の事務所(今思うと鋤田正義大先生を扱っていた会計事務所なんですなー)でバイトしてWalkmanを買い、その親戚の家にあったSONYのLibertyでレンタルCDをコピーしたテープをひたすら聴いていたのです。自発的に聴きはじめた最初の音楽がまさにこれで、時々引っぱりだして聴くと恐ろしいほど自分のサウンドに影響を与えていることに気付かされる一枚です。
 アルバムは『Childhood's End』というインストで始まります。で、村上ポンタ氏によるゲートかかりまくりのタムのフィルでM2『Accident』になだれこみます。打ち込みによるドラムと刻みのシンセ、アナログとFMの合成によるシンセベース、やたらとドラマチックなシンセストリングス、ループされている金物系のリフ、そこにプラスされる生のアコギとシンバル、「もっと本気になれば/もっと素敵が見えるはず」という詞などなど、影響されまくりですね。M3『Faire La Vise』これはアルフィーばりの「アー」というコーラスと生のピアノが素晴らしいのですが、『Vision Festival』というビデオでのアレンジは更に良いです。ライヴだけに使うのは勿体無いシンセリフが聴けます。そしてM4『永遠のパスポート』ですが、これは僕の作るミディアムテンポの曲に永遠にその名残りを残してしまう曲だと思います。左右で刻まれるハットやシェイカーに、生ドラムとこれまたアナログ+FMのシンセベースの絡み、エレガントなシンセストリングス、でもって「本当の事は誰も知りたくはないさ/全てを許せるほど優しくなれない」と。この流れはM5『8月の長い夜』M6『TIME』まで続きます。もう死んじゃうですから。
 M7『Dragon The Festival』は、打ち込みと生のパーカッションによるサウンドが土台を支えるラテンもどきな名曲で、「良いアルバムには異色な曲が必要である」「踊るサウンドを極めたかったら曲は長くなる」といったことをこの曲に教えられました。曲の流れがクライマックスになった直後にパーカッションだけになるところなど、素晴らしい出来です。M8・M9も『永遠のパスポート』の流れで、テンポをもっと上げていったものですね。M9では「傷つくことと愛することさえも/比べている悪い癖さ」なんて歌っていたりもします。そしてM10『Fantastic Vision』は、この流れの完成型です。「さまざまな嘘をついても/二人きりになりたかった」と、アヴァンチュールに踏み切った瞬間という、人類至福の瞬間がそれにふさわしいサウンドで歌われます。一瞬だけ出てくるスパニッシュなコーラスもいいのですが、やはり最高なのはカメラのシャッター音で幕を開ける、シンセのオーバーダビングで組み立てられたディズニーチックな間奏です。そしてM11『愛をそのままに』で「悲しみにみちた日々を輝きに変えて/もう一度強く抱きしめたい」と歌われてアルバムは終わります。
 総論としては、TMが『Self Contorol』などの応援系の曲に専念するために捨てた部分が最も凝縮されているアルバム、といったところでしょうか。ですので、YMO以後のテクノ歌謡の流れとして聴くのもおススメです。では、今回はこのへんで。今度は、モア・ベターよ。人身ばいばーい!

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