ライヴには流れというものがあって、これを本能的にであれ理性的にであれコントロールできないと、良いライヴはできない。本能的にコントロールしているバンド、というのは曲順をあらかじめ決めないでステージの進行次第で次に演奏する曲(曲そのものをその場で作るバンドもある)を決める、という手法をとりながらも良いライヴができるバンドのことで、私にはとてもこんなことはできない。が、こういうことができるバンドは確実にいるわけで、誠に尊敬に値する。
理性的にコントロールしているバンド、にも様々なパターンがるが、まず第一は、先に述べたバンドに近いのだが、ライヴ直前に曲順を決める、というもの。その日のメンバーのテンションやお客さんの状況を見て、適切な曲順をライヴ直前に決めるわけだ。が、こういうバンドはライヴハウスによっては嫌われる。なぜなら、ライヴハウスとしてはやる曲とその演出があらかじめ決められていないと、対応がしにくいからだ。よって、ライヴハウスではリハーサルの前に曲順表を書くことをバンドに義務付けていることが多い。このことは先に挙げた2タイプのバンドが良いライヴを行う可能性を狭めている、とも言えるが、これらのタイプのバンドが多く出演するライヴハウスでは、曲順表の提出義務が無いこともある。であるので、このようなバンドの方々は、出演するライヴハウスの選択には十分に気を付けることが重要だと思われる。
さて、残るパターンは、曲順をあらかじめ十分に練った上でライヴに臨むバンドだ。「プロ」というのは必ずこうするものだが、先に挙げたバンドのような「真のハプニング」を産む可能性は少なくなる、ということを忘れてはいけない(デヴィッド・ボウイがどうやってもイギー・ポップには勝てないことに似ている)。この場合にあらかじめ考えられるライヴの流れは、大きく3つに分けられる。1つ目は始めから盛り上げっぱなし、という流れ。2つ目は動・静・動、という流れ。3つ目はじわじわと盛り上がってゆく流れだ。1つ目と3つ目は難しい。これを目論み見事に外したライヴというのは、演奏している方も観ている方も実に辛い。が、これに向かって果敢に挑戦するバンドはたくさんいるわけで、頑張って欲しい。私も一度ぐらいはライヴハウスでこういったライヴを観てみたい。さて、2つ目の流れ。これはまぁいわゆる王道ってやつだが、なかなかどうして奥が深い。始めの動、はまぁ簡単だ。頑張りゃできる。難しいのは中盤の静、ここがつまらないとただの「なかだるみ」になってしまう。静とはいえ、演奏する方は前半と同じ、もしくはそれ以上のテンションで演奏しなければいけないし、かつお客さんには適度な休憩を与え、後半でまた盛り上がっていただかなくてはならないのだ。そしてまた難しいのは後半の動、への移り変わりだ。簡単な手としては、盛り上がる曲をやるというのがあるが、そんなものばかりに頼っているのはアーティストの良心が痛む、もしくはもうそういう曲に飽きた、といったこともあるだろう、演じ手には。だが、いかにして王道を自分の中に取り込むか?そして独自のものを創り出すのか?というのはあまねく全ての芸術家の課題。頑張って頂きたい。
さて、今回はライヴの流れについて話してみました。良いライヴというのはバンドさんの命を削るような努力の積み重ねによってできているものなので、お客さん方も良いライヴには惜しみ無い賛辞とお金を与えて頂きたいものです。でわまた、今度は、モア・ベターよ。人身ばいばーい!
