第91回

DJテクマ!の選曲講座

 紳士淑女のみなさまこんばんは、テクマ!です。2004年はDJを何度かやらせていただきました。これがなかなか楽しかったので、今回のおセンチ日記では、DJについて書かせていただきます。
 僕が頼まれたDJには2種類ありまして、ひとつはイベントにおけるバンドとバンドの間のDJで、もうひとつは30分とか決まった時間を与えられて、その中で曲をかけ続けるDJです。ほとんどが前者なのですが、この場合には自分のDJ前のバンドと違和感のない曲で始めて、DJ後のバンドと違和感のない曲にいつのまにかもっていくことをポイントにしてやっています。DJ前がパンクバンドで、DJ後が60年代歌謡曲風バンドだったとして、僕のDJブースでの心の動きをシミュレーションしてみましょう。
 まずはバンドの後にスージー・クアトロの『Wild One』をかけます。オリジナルパンクの人たちというのは、少年時代にグラムロックに衝撃を受けて音楽を始めた人が多いため、パンクとグラムは曲調が近いことが多いのです(パンクバンドによるグラムの曲のカヴァーも多いです)。そしてグラムロックに多大な影響を受け、ROXY Musicの前座まで務めた、日本の誇るグラムロックバンド、サディスティック・ミカ・バンドの『タイムマシンにお願い』につなぎます。この曲のプロデューサーは後にSEX Pistolsの『勝手にしやがれ』も勤めるクリス・トーマスで、荒削りかつポップな録音によるサウンドはスージー・クアトロと違和感なくつながります。曲の進むうちに耳がジャパニーズガールの歌声に慣れてきますので、お次は平山三紀の『恋のダウン・タウン』にいきましょう。平山三紀は筒美京平の作曲作品で70年代に活躍していた、低音で投げやりでしかしグルーヴに満ちた最高にカッコ良いヴォーカルを聴かせてくれる歌手です。この曲は「ロックっぽい歌謡曲」として最高のアレンジと歌に満ちており、「歌謡曲っぽいロック」のミカバンドと絶妙なつながりをみせてくれます。しかし録音はミカバンドほど荒くはないため、耳は歌謡曲モードに次第になってきます。また、そろそろ次のバンドのセッティングも終わりそうな時間ですので、次にはちあきなおみの『喝采』をかけます。ムーディーかつ60年代気分なサウンドに会場が包まれきったあたりで、次のバンドの開始と共にDJはフェードアウトしていきます。
 もしポストロックのバンドとギターポップのバンドの間のDJだったらば、バンド→初期クラフトワーク→80年前後のNew Wave→ネオアコ→バンド、と言ったように、ひとつひとつのつなぎでは飛躍しすぎないようにつないでいきます。カテゴライズしにくいバンドの場合は、そのバンドの音をよく聴いて、自分なりに何に影響を受けているのかを考え、そこに近いものをセレクトして、バンド後の1曲目にかけます。そこから次のバンドへの3、4曲のストーリーを考えていくわけです。
 また、30分とか決まった時間を与えられたDJの場合は、まず「最後にどこに持って行くのか?」を自分で設定します。僕の場合は、ユーミンによる完璧な曲と松本隆による歌謡曲の極北である歌詞と、イントロのギターカッティングやAメロのシンセベースや間奏後奏のブラスなど豪快かつスキが全く無いアレンジと、そして日本国民全員を虜にするヴォーカルによる最強の歌謡曲、松田聖子の『Rock'n Rouge』をゴールにすることが多いです。前のDJがどんな曲で終わらせるのかを見極めてそれと違和感の無い1曲目を考え、そこから『Rock'n Rouge』までのストーリーを考えつつ、曲を進めてゆくのです。
 というわけで、DJをやる前日には、出演バンドやDJの傾向をあらかじめ予想しながら、持ってゆくCDを決める必要があります。自分が確実にかける曲、つまり聴かせたい曲はすぐに用意できるのですが、それぞれのバンドやDJがどういう曲でライヴや出番を終わらせるかによって、1曲目はぜんぜん変わりますので、これを予想しつつセレクトするのが、苦しくも楽しい作業だったりします。
 というわけで、今回はこのへんで終わらせていただきます。イベントにDJが必要な場合がありましたら、ぜひテクマ!をご用命ください。でわまた、今度は、モア・ベターよ。人身ばいばーい!



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